SLOTH & SMILE

★3児のパパが綴る「怠惰」と「笑顔」がテーマの子育て記録★

「堂本版金田一は神である」という話。

金田一少年の事件簿。この偉大なるドラマとの出会いは僕が7歳のころ、オカンが癇癪を起した僕の気をそらすために「ほら金田一やってるよ」とたまたまテレビから流れていたのをあてがったのが始まりだ。

 

そのときの僕は金田一なんてものは知らないしテレビドラマというものにも興味はなかったがオカンの一言でテレビを見た瞬間、僕は衝撃を受けた。

 

そのとき流れていたのは『秘宝島殺人事件』という回。この回はバラバラに切断された死体や血で真っ赤に染まった部屋が登場する。とても7歳の子どもが見るものではなくオカンもテキトーにあてがったのを後悔したことだろう。しかし僕の目に映るそれらは残酷だけど本当に新鮮で、金田一特有の怖さは僕を画面へと釘付けにした。

 

これを機に僕は金田一が好きになった。テレビで見るだけでなくビデオをレンタルしてまで金田一を見るようになった。今思えば内容云々というより、ただ単に怖いもの見たさだったのかもしれない。

 

このドラマの面白さの重要なウエイトを占めるのは怖さであることはおそらく間違いない。その証拠に小学生の僕は実際に劇中で交わされる会話や言葉の意味がそれほど理解できなかった。こう言うとあれだが、僕はただ「殺人」という怖い出来事が見たかっただけなのかもしれない。

 

いや、さらに言えばその殺人を行う怪人こそが一番の恐怖であり、僕が金田一にのめり込んだ一番の理由だ。金田一ではほとんどの回で怪人が登場する。これは犯人が仮面などで扮装している姿なのだが、これがいちいち怖い。この絶対的恐怖の対象である怪人たちが登場するときの描写は今でも色濃く僕の脳裏に焼き付いている。

 

そこで金田一のドラマに登場する怪人たちに対する個人的な印象を書いてみる。

 

・放課後の魔術師(学園七不思議殺人事件)

怖すぎる。どこか笑っているように見える仮面は不気味そのもの。

 

・ジェイソン(悲恋湖殺人事件)

13日の金曜日が先行してしまいあまり好きにはなれなかったが猟奇的なイメージは強い。

 

・オペラ座の怪人(オペラ座館殺人事件)

窓から顔を出すシーンが怖い。仮面と包帯の境目を意識しないとスケキヨに見える。

 

・首狩り武者(首無し村殺人事件)

これに関してはただの鎧武者であるため、あまり怖さは感じない。

 

・レッドラム(蝋人形城殺人事件)

廊下で蝋人形を引きずりながら歩く登場シーンは怖い。怪人そのものより演出の妙により好きな怪人の一人。黒いフードで見えないが恐らく仮面などはなく顔はむき出しの状態だと思われる。

 

・雪夜叉(雪夜叉伝説殺人事件)

怖すぎる。この怪人目当てでこの作品を何度見たことか。車の外に立っているのも怖いがやはり印象深いのはモニター画面にぼんやりシルエットが映るところ。

 

・御堂周一郎の亡霊(悪魔組曲殺人事件)

この怪人のマスクはかなり不気味。怪人そのものにあまりストーリー性がないのが残念だが見た目のインパクトは十分。

 

・怪盗紳士(怪盗紳士の殺人)

ガスマスクのような被り物は恐怖というよりどこかカッコ良さを感じる。

 

・冥界の道化師(異人館ホテル殺人事件)

ピエロというだけで怖い。2人目の殺害シーンは物理的にすごい。

 

・生き残り兵士(墓場島殺人事件)

殺し方が過激だがこの怪人自体に恐怖はあまりない。

 

・魚人(上海魚人伝説殺人事件)

怖い。薄暗い劇場の廊下で金田一と出くわすシーンは特に怖い。

 

こうして振り返ってみると怪人だからといって必ずしも怖いわけではないことが分かった。首狩り武者や生き残り兵士に関しては全く怖いという認識がない。そして怖いものとそうでないものを比べたときに以下のことが分かった。

 

・怪人は言葉を発しない方が良い。

言葉を発することによって恐怖感が弱まったのがオペラ座の怪人と冥界の道化師。ビジュアルは申し分ないが喋ることによって「必要以上の人間らしさ」を感じさせてしまうだけではなく、こちらが持つ怪人へのイメージを崩す原因になる。よって怪人には無言で淡々と犯行を行う姿を求める。喋ることが犯行の過程での必要枠だとしても僕は好きになれない。

 

・怪人にはストーリー性があった方が良い。

何故その容姿なのか、なぜその殺し方なのか等のコンセプトが明確に分かると良い。ただただ怖いだけの仮面を被っているだけでは心の底から怖いと思えない。明らかにこの点で損をしているのは悪魔組曲に登場する怪人、容姿は物凄く怖いが何故あの姿でなければならないのかが分からず、どこか間に合わせ感がある。

 

・怪人は「既存の何か」に見えてはならない。

例えば悲恋湖殺人事件に出てくるジェイソンマスクの怪人、これはもうジェイソンという既存のものである。他にも首狩り武者であれば戦国時代の武将、生き残り兵士であればサバゲーガチ勢。このように「その怪人以外の何か」に見えてしまっては駄目なのだ。当然そちらのイメージに引っ張られるかたちになり恐怖感は薄くなる。ただ雪夜叉は般若という既存のデザインだが怖いという例外な存在。

 

・怪人の見せ方

これは怪人そのものではなく演出の問題になってくる。例えばどんなにビジュアルが怖くてバックボーンが明確な怪人でも登場シーンのBGMやカメラワークが伴わなければ全て台無しである。放課後の魔術師や雪夜叉は劇中で明るい場面でのシーンがあるにも関わらず一定の怖さを保てるのは実はとても凄いことだと思う。演出というかストーリー的に仕方がないことだが、冥界の道化師が回想シーンで客としてホテルに来訪する場面は僕にとって恐怖が薄まる見せ方だった。

 

これらの点を踏まえて個人的に怖い怪人に順位をつけてみる。

 

【1位】魚人

容姿と殺し方のコンセプトが明確、日本ではあまり見かけないタイプの仮面から滲み出る不気味さ、劇中一言も言葉を発しない、登場シーンの演出。どこをとっても隙がない個人的に一番好きな怪人。金田一と鉢合わせになる場面で廊下からヌッと出てくる様は恐怖の真髄。この怪人が登場するのは劇場版なのだが、思い返せば僕が人生で初めて映画館で見た映画である。よってこの怪人にはそういった思い出補正もあるのかもしれない。いや、それは関係なく怖いものは怖い。

 

【2位】雪夜叉

終始無言なうえに演出も効果的。ドラマ版金田一の話をすると決まって出てくるくらい多くの視聴者にトラウマを与えたであろう怪人。僕もその例に漏れず自宅の廊下に居もしない雪夜叉を想像してしまうこともあった。雪夜叉は昼間の屋外での登場シーンや金田一の危機を救うシーン、さらには般若という既存の面の使用など理想の怪人像に当てはまらない部分も多いが、モニター越しでの登場や、その後の鉈による殺人のインパクトが強すぎるためランクイン。

 

【3位】放課後の魔術師

ドラマ初回の怪人にも関わらず、その圧倒的なビジュアルと登場シーンによりランクイン。実は見た目のコンセプトはよく分からない。金田一と用務員のおじさんがこの怪人を発見するシーンは今見ても鳥肌が立つほど怖い。あのシーンの演出は本当に神がかっていると思う。微妙にひょうきんな印象すらある仮面が得体のしれない恐怖を感じさせる。物語中盤の逃走シーンでちょくちょく後ろを振り返る姿はどこかマヌケだがそれでもやっぱり怖いものは怖い。

 

話は戻るが、僕が金田一を知るきっかけになった『秘宝島殺人事件』。この回は過激な描写こそ多いが怪人という怪人は登場しない。一応、山童(やまわらし)という怪物の存在が示唆されるが実際の描写はない。それであるにも関わらずこの作品も十分に怖い。

 

つまり怪人は魅力的であるが金田一というドラマにとって必ずしも必要な存在ではないということになる。実際に『秘宝島殺人事件』だけでなく『異人館村殺人事件』『首吊り学園殺人事件』『タロット山荘殺人事件』など怪人の存在を示唆しつつも、そのものの直接的な描写がない回も名作ばかりだ。

 

それはおそらくこのドラマ特有の演出、ミステリアスマレッツをはじめとする神BGMとそれらの使いどころ、各キャストの魅力、様々なものが完璧にマッチングしていることが最大の理由ではないだろうか。ちなみに金田一効果によって僕はずっと堂本剛が好きでここだけの話、勝手に兄と呼ばせてもらっている。

 

そして僕は未だに堂本版金田一を超えるドラマを見たことがない。古畑任三郎、ケイゾク、トリック、松本版金田一、亀梨版金田一、山田版金田一、様々な探偵ドラマがありどれもそれぞれの面白さはあるが堂本版金田一が強すぎる。

 

今でもDVDやYouTubeで定期的に見ているが、この作品はいつまでも色あせない。もはやこれは「探偵もの」を超越した「堂本版金田一」という一つのジャンルだと僕は本気で思っている。さらに言えるのはこの作品が僕の人生を少し豊かにしてくれたということだ。

 

最後にブログの趣旨としてこの記事の内容を子育てに結び付けてみる。

 

良くも悪くも「親がその場しのぎに与えたものが、その後の子どもの人生に大きな影響を与えることがある」ということを意識して子どもたちと接していきたい。僕に金田一を与えたオカンの名にかけて。